ティーン・ザ・ロック
ちゃんと言えただろうか。
ちゃんと誤魔化せただろうか。
ちゃんと、『良い妹』で居られただろうか…?
あたしは兄にずっと笑っていて欲しい。
今、こんなに苦労している兄だから。傍で支えてくれるヒトが出来るのは、本当なら嬉しい事なんだ。
だから、あたしに対しての態度と兄に対する態度が違ったとしても…今は何も言わずに見守る事にしよう。
それに、幸いな事に あたしは結構演技派みたいだ。
あんなに苦しい言い訳をすんなりと信じてくれた兄なら、これから先もあたしの留美に対する黒い感情に気付く筈は無い。
何としてもそれだけは気付かれてはいけない状況になったのだから、兄ののろけ話位、笑ってやり過ごさなければ…。
「…で、落ち込んだ時、たまたま留美ちゃんが家に差し入れ持ってきてくれてさー。
ポロっと愚痴っちゃったんだよなー。その時の留美ちゃんがすっげー優しくて、俺なんかイチコロよ」
「へ…へぇ。留美、優しいから…。
…じゃあお兄ちゃんの職場が大工だって事も知ってるんだね」
「あー、お前を見送った後、一緒に飯食った時だったかな?…ん?その後の偶然会った時か?
…いつ言ったのかなんて分かんねぇや」
…あたしなんか、二人がそんなに会ってたって事も知らなかったのにな。
疎外感を感じずには居られない。