ティーン・ザ・ロック
…気がつけば時計の短針が2時を指していた。
およそ5時間。その間留美の自慢話は留まる事を知らなかった。
もう、精神的にも起きているのも限界だ。
『その女に言ったの!要さんほど良い男にはあたしみたいな美人しか似合わないって!
カッコ良くない!?』
…うるさいよ、マジで。
『ねぇ、葉瑠ー!聞いてんのー?おーいっ』
「……留美ー。明日…もう、今日か。
お兄ちゃんと買い物行くんでしょ?
そろそろ寝ないと、化粧のノリ悪くなると思う」
その言葉でやっとあたしを解放してくれる気になったらしい。
『それもそうだよね!分かった!
じゃあ、買い物から帰ってきたら報告するよー!!
きっと今日、告白してくれる気がするんだっ。だって、
デートしようって誘ってきたの要さんだし!』
……不快感で目が一気に冴える。
兄から留美を誘った…?
それだけ本気だと言う事、だよね。
そして留美も、兄に対してはかなりの執着心を見せている。
きっとそう遠くない未来に二人は付き合う事になるだろう。
そしたら、今以上に留美に振り回されるんだろうな…。
想像するだけで憂鬱になる。
上機嫌で電話を切った留美とは対照的に、あたしの気分は良い物などでは無かった。