【完】禁断の恋〜好きと気づくとき〜
「菜摘?どした??」



俺は平然を装い、どさくさに紛れて菜摘を抱きしめた。



菜摘を抱きしめられるのは、こんなときしかないからな。



俺の胸の中で静かに泣く菜摘が…可愛い。



抱きしめるだけじゃ済まなくなる。



「ち、それが返事?」



松山は軽く舌打ちをして、俺を睨んだ。



菜摘は松山のほうを向いて頷く。



「私は…



佳祐が好き」



ドクンッ。



さりげなく俺のTシャツを握る菜摘が、愛しくてたまらない。



松山は嫌な顔を残して、その場から立ち去った。

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