ハルジオン。
「……まさか」

アキトの歯切れが悪い。

「オヤジは?」

「知らないよ」

「知らない?」

「蒸発したんだって。で、母さんは男作って僕を邪魔者扱いさ」

「……なるほど」

達也はポリポリと頭を掻いた。

「ありきたりな話だな」

途端にアキトは足を止め、厳しい顔を達也に向けた。

「分かったようなこと言うな!」

「……お前」

達也が口を閉ざす。

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