ハルジオン。
「お前なんかに……お前なんかに僕の気持ちが分かるもんか!」

射るような目で睨みつける。

「……ま」

達也は押し黙ったまま、じっとアキトの目を見つめ返した。

「そうだな」

呟いて肩をすくめる。

真っ直ぐな瞳だ。

その大きな黒い瞳の中に映る自分の姿に、達也はふと目を逸らした。


百合子のことを、思い出した。

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