ハルジオン。
「何がタイムカプセルだよ」
折り重なる山の稜線を見上げながら、達也はもう一度呟いた。まるで雨が上がるのを待っていたかのように、どこからともなく虫の音が聞こえてくる。
時計を見ると、約束の時間まであと五分ほどになっていた。
「本当にあいつら来てんのか?」
呟いて思わず苦笑いした。
何だかんだ言って約束どおり来てしまった自分が可笑しかった。
ここに来れば、嫌でも昔を思い出す。
それなのに……
あぜ道を抜け、桜の木が立ち並ぶ逆瀬川の土手を川上に向かって歩いていると、不意に目の前を一筋の淡いゆらぎが横切った。
「……蛍」
達也は思わず立ち止まった。
折り重なる山の稜線を見上げながら、達也はもう一度呟いた。まるで雨が上がるのを待っていたかのように、どこからともなく虫の音が聞こえてくる。
時計を見ると、約束の時間まであと五分ほどになっていた。
「本当にあいつら来てんのか?」
呟いて思わず苦笑いした。
何だかんだ言って約束どおり来てしまった自分が可笑しかった。
ここに来れば、嫌でも昔を思い出す。
それなのに……
あぜ道を抜け、桜の木が立ち並ぶ逆瀬川の土手を川上に向かって歩いていると、不意に目の前を一筋の淡いゆらぎが横切った。
「……蛍」
達也は思わず立ち止まった。