ハルジオン。
「ゆりの中にいるのは、そのたっちゃんって言う男なんだろ?」

「翔……」

「どうなんだよ!」

引き締まった体から噴き出す汗を拭おうともせず、翔がもの凄い剣幕で叫んだ。

「……ごめんなさい」

「畜生ッ!」

――ガシッ

ラブホテルの鏡に拳を叩きつける。

翔は目をつり上げ、百合子の上に跨ると、血で濡れた手で百合子の首を絞めた。

「どいつもこいつも俺のことを馬鹿にしやがってッ!!」

「……ごめ……ん」

「お前まで!俺を馬鹿にするのか!」

「ごめんね……翔……ごめ……」

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