ハルジオン。
「見つけた」

「……え?」

背後から聞こえた声に振り向き、百合子は表情を強ばらせた。

「…………翔!」

どうして?

足をふらつかせ、視線も定まらない百合子に翔が歩み寄る。

「いくら電話しても繋がらないから、心配になって来てみたんだ」

「……そんな」

「知ってる?ゆりの携帯にGPS機能を付けたんだよ」

「GPS?」

「ああ。だから、僕にはゆりの居場所がすぐに分かる」

東に長く伸びた木影の中で、翔の瞳が怪しく揺れている。

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