ハルジオン。
「……僕が初めてこの森に迷い込んだ時、一番最初に知り合ったんだ」

「ふーん」

「……」

「それだけか?」

「悪い?」

苛立たしげにテープを取り出し、角の木にマークを付ける。

この森に来て三度目。

同じ事を繰り返してきた。

けれどいつも結果は同じ。強制的に森を追い出されて、元の場所、元の時間に逆戻るだけ。

……ダメだ。

これじゃ見つからない。

アキトは顔をしかめ、ポケットの中のトランプをぎゅっと握りしめた。

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