ハルジオン。
「坊やを見ていると、俺の息子のことを思い出すよ」

「僕と同じくらい?」

「いや、ずっとデカい」

「ふーん」

アキトは旅人の大きな手の平の感触に身を預け、蒸発した父のことを考えた。

どんな人だったんだろう?

時々そう思う。


「坊や、夢はあるか?」

旅人が尋ねた。

「……ううん」

「そうか。まぁいい、人生はまだまだこれからなんだ」

「オジサンは?」

アキトが問い返すと、旅人はふっと寂しそうな表情で森の木を見上げた。

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