ハルジオン。
山道の先には、見覚えのある大木と洞穴があった。

「そんな」

アキトがしゃがみ込む。

「振り出しに戻る……てか」

達也もまた溜息をこぼし、恨めしげに天を見上げた。


「……やっぱ、ダメなんだ」

大木の下で唇を噛みしめ、アキトが力なく項垂れた。

「アキト……」

「何度来たって、目印を付けたって、僕にはたどり着けないんだ。なんでだよッ!」

「ヤケになんな。まだあと何時間かあるんだ。これから」

「うるさいッ!!」

目に涙を一杯にためたアキトが、達也を睨みあげた。

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