ハルジオン。
「……うわあッ!!」

達也がそんなことを考えていると、突然頭上でアキトの悲鳴とも歓声ともつかない叫び声が聞こえた。

「何だ?どうした?!」

「オジサン来て!早く!」

「……あ?」

達也が首を傾げる。

「待ってろ、今行く」

声を掛け、素軽い身のこなしでアキトの居る木の枝を目指す。

するとどうだろう。

それまで鬱蒼とした木々に囲まれていた視界が、みるみる広がっていくではないか。

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