ハルジオン。
――アキト、

お前はこの森に何を願う?

母さんのことか、それとも蒸発した父さんのことか、あるいは……

目を閉じたまま大きく息を吐く。


――俺は?

俺は、何を望む?


母さん……

オヤジ……

百合子、靖之……

達也の頭の中を、心のどこかに閉じこめていた幼き日の記憶が次々と去来しては通り過ぎていく。

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