ハルジオン。
達也は、握りしめているアキトの手の温もりを確かめ、そして願った。

アキトの幸せがまるで自分の幸せであるかのように、少年の幸せだけを願った。


百合子の顔がよぎった。

靖之の顔も。

そうだ、今まで俺を見守ってくれた、大切な親友……

神様、あの二人にも幸せを……



その時、

――パンッ!!

と突然瞼の奥で何かが弾けた。

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