ハルジオン。
「うっ!」

「何今の?……あ!」

瞼を開き、顔を見合わせた二人は、目の前の光景に言葉を失った。

いつの間にか無数の螢が二人を囲み、あたり一面を照らしていたのだ。

「これ……」

「……ああ」

金色に輝く体を見つめ、達也はアキトの手をそっと離した。

森を抜ければ、二人は元の世界へと引き戻されるのだろう。

「さよならだ」

「……みたいだね」

離れた手をポケットに突っ込み、アキトが照れくさそうに滝を見上げた。

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