ハルジオン。
「それがこの森の仕組みなんだ。二度と螢の泉にたどり着けなくさせるためのね」

「な……」

そういうことか。

心の中で呟くと、達也は唖然とした表情で立ちつくした。

「じゃあ何か?俺はお前のことを綺麗さっぱり忘れちまうってか?」

「……うん」

「お前も俺のことを忘れるのか?」

「そうだよ」

「そうだよってお前……お前はそれでいいのかよ?」

「……」

口をつぐんだアキトの手が、微かに震えていた。

< 210 / 339 >

この作品をシェア

pagetop