ハルジオン。
「……ちっ」

苛立ちと共に腕時計を見る。

時計の針は、夕方の六時を少し過ぎた時間を指していた。

数時間ほど眠っていたらしい。

今から森を抜ければ、七時。

今日のうちに東京に戻ることもできるが、体が言うことを聞きそうにない。

「しょうがねーな」

達也はため息をこぼし、森を出たらホテルに電話しようと決めた。

それにしても……

腕を下ろし、首を振る。


……どうも引っかかる。

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