ハルジオン。
なぜそう思うのか?

なぜこんなに胸が熱いのか?

達也は靖之の言葉を聞きながら、目の前を舞う螢の灯りをじっと見つめた。

ふわり、と誘うように揺れるそれは、もちろん何も語りはしない。

けれど……

きっと何かを知っている。


「……それからまた半年ほどして、僕はこの町に引っ越してきた」

「覚えてるわ。小三の春よね?たっちゃんと同じ時だった」

「うん」

靖之が頷く。

そして、三人は出会った。

「懐かしいね」

後ろ手に手を組み、百合子が眼を細めた。

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