ハルジオン。
「待ってたんだよ」

前を歩く靖之についていきながら、百合子が小声で言った。

「手紙」

「……ああ」

百合子と肩を並べて歩いていた達也が短く答える。

「そんな気はしてたけどね。連絡、くれないんだろうなって」

「そっか……」

それきりムスッと押し黙る。

昔からの悪い癖だ。

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