ハルジオン。
「どんな人かしら?」

「さあ」

「優しい人だよね、きっと」

「どうかな?」

達也は道端に生えたイタドリの茎を折り、目の前にかざした。

トビが低く飛んでいる。

夕方あたり雨が降るのかも知れない。


『あの男が……』

達也の脳裏を祖父の険しい顔がよぎる。

『逸子を殺したんじゃ』


……あれから十六年。

今ではもう、祖父や祖母の顔を思い出すことすらできない。

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