ハルジオン。
「ほらこれ」

篤史が丸い厚紙のような物を取り出し、達也の小さな手の平に乗せた。

「仮面ライダのめんこだ!」

「ずっと欲しがってたろ」

「ありがとう!」

「ああ。それからこれ。パパの家の電話番号だ。声が聞きたくなったらいつでもかけてくればいい」

「……うん」

と答えながら「どうして?」と達也が首を捻る。

「あとこれ。お守りだ」

「おまもり?……ねえパパどうしたの?またどっか行くの?」

「……ああ」

遠いところだ。と言って微笑むと、篤史は勢いよく立ち上がった。

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