ハルジオン。
「懐かしい!」

百合子はそれらを一つ一つ手に取り、これは何に使っていただの、こっちのは誰それに貰ったものだなどと言って眺めだした。

その時、セピア色に変色した一枚の写真が百合子の手もとをすり抜け、ヒラリと達也の足元に落ちた。

「何か落ちたぞ」

無造作に拾い上げた達也は、思わず言葉を失った。


赤ん坊を挟んで微笑む父と母。

それは、たった一つだけ達也がカプセルに放り込んだ家族写真だった。

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