ハルジオン。
父は母を愛していたんだろうか。

そう自問する時がある。

恐らく答えはイエスなのだ。

たぶん、きっと。

だから父は百合子を愛した。

なぜなら、百合子は母逸子にうり二つだったのだから。

もしこれが神様の仕業だというのなら、こんな悪質な悪戯もないだろう。

ただ、だからと言って、達也にはあの祭の日の出来事を許すことなど絶対にできるはずがなかった。

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