ハルジオン。
「……チッ」

達也は写真を手に、もう一度小さく舌打ちをした。

「うわっ!見てたっちゃん!」

そんな達也の気持ちをよそに、靖之が無邪気な歓声を上げた。

「何だ?」

「ほらこれ。覚えてない?」

煤けた顔を向ける達也に寄り添い、靖之が一枚の画用紙を差し出した。

「あん?」

八ツ折りになったそれには、何かの地図らしき絵が子供らしいタッチで描かれていた。

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