ハルジオン。
「あ!これ知ってる!」

百合子が身を乗り出して手を叩く。

無理に笑顔を取り繕っている様な仕草が痛々しい。

「何だよこれ?」

「あれだよアレ……なんだっけ?」

「はぁ?」

「知らないの?ちょうどあの頃、学校中で噂になってたのに」

「だから、何だよそれ?」

どうにも要領を得ない達也は、苛々と靖之に問いただした。

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