ハルジオン。
「ママ見て!」

達也が焼き芋を大事そうに抱え、走り寄って来る。

少年達にもらったのだろう。

「あら、美味しそうね」

「……どうしたの?」

目尻の涙を拭い、精一杯明るい声でそれを受け取る母の顔を、達也が不思議そうに覗き込んだ。

「ん?何でも」

「ふーん……これね、あそこにいるお兄ちゃんがくれたの」

「そう。お礼は?」

「言ったよ」

「えらい!」

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