ハルジオン。
第一章 八坂神社

(一)

(一)


『たっちゃんへ。久しぶり。元気ですか?』


正月も明けた一月の中頃。

当たり前のように地元の成人式にも顔を出さなかった達也の元に、一枚の手紙が届いた。

「たっちゃん、か」

懐かしい呼び名に苦笑いが漏れる。

送り主の名前を見るまでもない。癖のある筆跡に見覚えがあったし、何より自分のことをこんな幼稚なあだ名で呼ぶのは、百合子の他に一人しかいなかった。

達也は手紙を裏返し、丁寧なくせにどこか人懐っこい文章を目で追った。

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