剣と日輪
(保阪正康著角川文庫刊三島由紀夫と楯の会事件より)
公威の許を早大生持丸博が訪れ、
「日本学生新聞」
への書文を願ったのは、昭和四十二年一月だった。公威が即諾したのは、言うまでもない。
「論争ジャーナル」
と、
「日本学生新聞」
は公威の救国行動の、二大牽引車(けんいんしゃ)となったのである。
昭和四十二年十月、一月に及ぶインド政府の招待旅行から帰国した公威は、
「論争ジャーナル」
の中辻、萬代等と討議し、左記のような、
「国土防衛隊」
の草案を練ったのである。
一、
国土防衛隊は民兵を以て組織し、有事の際の動員に備え、年一回以上の訓練教育を受ける義務を負う。
一、
民兵は志願制とし、成年以上の男子にして年齢を問わず、体格検査、体力検定に合格したる者にして、前科なき者を採用する。
一、
民兵の雇用主は、民兵訓練期間の有給休暇を与える義務を負う。民兵には原則として俸給を支給せず。
一、
国土防衛隊の経費は、三分の一を国費、三分の一を地方自治体費、三分の一を国民醵金(きょきん)により、これを支出する。
一、
民兵はこれを幹部と兵とに分け、幹部教育には、自衛隊内に民兵幹部教育隊を設けて特殊短期訓練を施し、自衛隊幹部に準ずる資格を与えて、以て民兵組織とをリンクする。
一、
民兵幹部は年一ヵ月、民兵は年一週間の訓練教育を受けるものとする。
一、
民兵幹部は、一般大学卒業者及び自衛隊幹部退役者とを以てその有資格者とし、前者は志願と共に国家検定試験を受ける。
一、
民兵には制服を支給し、訓練期間中の装備一切を貸与する。
一、
指揮命令系統は、現行憲法下では、内閣総理大臣に直属する。
(三島由紀夫「日録」より)
公威の許を早大生持丸博が訪れ、
「日本学生新聞」
への書文を願ったのは、昭和四十二年一月だった。公威が即諾したのは、言うまでもない。
「論争ジャーナル」
と、
「日本学生新聞」
は公威の救国行動の、二大牽引車(けんいんしゃ)となったのである。
昭和四十二年十月、一月に及ぶインド政府の招待旅行から帰国した公威は、
「論争ジャーナル」
の中辻、萬代等と討議し、左記のような、
「国土防衛隊」
の草案を練ったのである。
一、
国土防衛隊は民兵を以て組織し、有事の際の動員に備え、年一回以上の訓練教育を受ける義務を負う。
一、
民兵は志願制とし、成年以上の男子にして年齢を問わず、体格検査、体力検定に合格したる者にして、前科なき者を採用する。
一、
民兵の雇用主は、民兵訓練期間の有給休暇を与える義務を負う。民兵には原則として俸給を支給せず。
一、
国土防衛隊の経費は、三分の一を国費、三分の一を地方自治体費、三分の一を国民醵金(きょきん)により、これを支出する。
一、
民兵はこれを幹部と兵とに分け、幹部教育には、自衛隊内に民兵幹部教育隊を設けて特殊短期訓練を施し、自衛隊幹部に準ずる資格を与えて、以て民兵組織とをリンクする。
一、
民兵幹部は年一ヵ月、民兵は年一週間の訓練教育を受けるものとする。
一、
民兵幹部は、一般大学卒業者及び自衛隊幹部退役者とを以てその有資格者とし、前者は志願と共に国家検定試験を受ける。
一、
民兵には制服を支給し、訓練期間中の装備一切を貸与する。
一、
指揮命令系統は、現行憲法下では、内閣総理大臣に直属する。
(三島由紀夫「日録」より)