剣と日輪
「だといいがな」
「ほんと。ほんと」
 石津が相槌を打つ。
「何だ。違うのか?」
「ふふ。それは今夜のお楽しみさ」
 山本達はなにやら意味ありげである。
「そうか。何が起きるのかな」
 必勝はわくわくした。
「ぎゅっ」
 と何者かが後から必勝の左脇腹を摘んだ。必勝はぎょっとして振り向いた。
「おっ。君は中々鍛えてるようだな」
 肩肉の盛り上がった公威が、
「がはは」
 と笑い飛ばした。
「三島先生」
 必勝は一笑し、直立不動で、
「過日は、御世話になりました」
 と敬礼した。
「よしなさい。丸見えだよ」
「はっ。これは失礼しました」
 必勝はざぶんっと湯に沈んだ。
「ったく。見ろ。三島さんの顔に湯がかかったぞ」
 山本が口をへの字にしている。
「これはとんだ失礼を」
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