剣と日輪
(機動隊は勝てるか。自衛隊は出動するのか)
 ヘルメットを被り、こそ泥の様に頬かむりして機動隊に悪態をつき、火炎瓶を其処彼処に投げつける共産主義・無政府主義者の暴虐振りに、突貫していきそうになる自我を押しとどめつつ、公威はたじろぎもしなかった。
 機動隊が共産主義・無政府主義者を押し返したと見極めると、公威は銀座へ出た。ここでも凄まじい市街戦が展開されており、公威は、
「此処では良く見えん」
 と叫ぶや、セキュリティーガードの制止を聞かずに、銀座四丁目の交番の屋根に上がり、
「絶景かな、絶景かな」
 と見得をきった。

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