剣と日輪
奔馬編文化防衛論
十一月二日土曜日。必勝は山本之聞と一緒に、平岡邸に顔をみせた。必勝を玄関で出迎えてくれたのは、公威の一子小学一年生の威一郎だった。威一郎は、必勝を覚えていた。
「毬栗(いがぐり)頭の御兄ちゃんが来たよ」
威一郎は木刀を握り締めたまま、お手伝いさんと必勝、山本に失笑されつつ、奥へ自ら公威を呼びにいってくれた。
「すいません。坊ちゃんが失礼な事を」
「いえ、もう威一郎君とはまぶだちですから」
「はあ」
メイドは、
「まぶだち」
なる語が初耳である。要領を得ないまま、相槌をうった。
「父ちゃんだよ」
威一郎が公威の手を引っ張るようにして、連れて来た。
「おおっ。やっぱり森田か」
「御忙しいところすいません」
必勝と山本は敬礼をした。
「まあ、上がりたまえ」
「失礼します」
靴を脱いでいる必勝と山本に、威一郎が公威の真似をして促した。
「まあ、上がりたまえ」
「御茶目だなあ。威一郎君は」
「毬栗(いがぐり)頭の御兄ちゃんが来たよ」
威一郎は木刀を握り締めたまま、お手伝いさんと必勝、山本に失笑されつつ、奥へ自ら公威を呼びにいってくれた。
「すいません。坊ちゃんが失礼な事を」
「いえ、もう威一郎君とはまぶだちですから」
「はあ」
メイドは、
「まぶだち」
なる語が初耳である。要領を得ないまま、相槌をうった。
「父ちゃんだよ」
威一郎が公威の手を引っ張るようにして、連れて来た。
「おおっ。やっぱり森田か」
「御忙しいところすいません」
必勝と山本は敬礼をした。
「まあ、上がりたまえ」
「失礼します」
靴を脱いでいる必勝と山本に、威一郎が公威の真似をして促した。
「まあ、上がりたまえ」
「御茶目だなあ。威一郎君は」