剣と日輪
「それで襲撃してくる奴がいたら、日学同も大したもんだ」
小川は乱闘なら何時でもこい、と言わんばかりだ。
「そうか」
山本之聞は必勝と意気投合していた。必勝と手を携えて東奔西走した日々は、黄金のように輝いていた。だが最早それらの思い出は、二度と戻ってはこないだろう。
「組織に生きるって辛いな」
必勝は日本史上最も敬慕する新選組副長土方歳三の言を、山本之聞に投げかけた。
「そうだな」
必勝達は、一月一杯で日学同を脱退することになった。必勝は新宿区十二社(そう)三一六小林荘八号室で、田中健一と同居するようになる。
必勝は二月一日付の日学同への手紙で、脱退する旨を通知し、新たなる活動の拠点を求めたのだった。
公威は、
「反革命宣言」
と題した実質的な楯の会綱領を、論争ジャーナル二月号に載せた。それは次のような骨子だった。
一、
我々はあらゆる革命に反対するものではない。暴力的手段たると非暴力手段たるとを問わず、共産主義を行政権と連結せしめようとするあらゆる企図、あらゆる行動に反対する者である。この連結の企図とは、いわゆる民主連合政権(容共政権)の成立およびその企図を含むことはいうまでもない。
二、
われわれは、護るべき日本の文化・歴史伝統の最後の保持者であり、最終の代弁者であり、且つその精華であることを以て自ら任ずる。
三、
われわれは強者の立場をとり、少数者から出発する。日本精神の清明、潤達、正直、道義的な高さはわれわれのものである。有効性は問題ではない。なぜならわれわれは、われわれの存在ならびに行動を、未来への過程とは考えないからである。
小川は乱闘なら何時でもこい、と言わんばかりだ。
「そうか」
山本之聞は必勝と意気投合していた。必勝と手を携えて東奔西走した日々は、黄金のように輝いていた。だが最早それらの思い出は、二度と戻ってはこないだろう。
「組織に生きるって辛いな」
必勝は日本史上最も敬慕する新選組副長土方歳三の言を、山本之聞に投げかけた。
「そうだな」
必勝達は、一月一杯で日学同を脱退することになった。必勝は新宿区十二社(そう)三一六小林荘八号室で、田中健一と同居するようになる。
必勝は二月一日付の日学同への手紙で、脱退する旨を通知し、新たなる活動の拠点を求めたのだった。
公威は、
「反革命宣言」
と題した実質的な楯の会綱領を、論争ジャーナル二月号に載せた。それは次のような骨子だった。
一、
我々はあらゆる革命に反対するものではない。暴力的手段たると非暴力手段たるとを問わず、共産主義を行政権と連結せしめようとするあらゆる企図、あらゆる行動に反対する者である。この連結の企図とは、いわゆる民主連合政権(容共政権)の成立およびその企図を含むことはいうまでもない。
二、
われわれは、護るべき日本の文化・歴史伝統の最後の保持者であり、最終の代弁者であり、且つその精華であることを以て自ら任ずる。
三、
われわれは強者の立場をとり、少数者から出発する。日本精神の清明、潤達、正直、道義的な高さはわれわれのものである。有効性は問題ではない。なぜならわれわれは、われわれの存在ならびに行動を、未来への過程とは考えないからである。