剣と日輪
　公威は、
「関の孫六」
　を握り締めたまま受付前に現れた。後ろには必勝以下四名が添うている。十一時五分だった。
「楯の会の三島です。益田総監に会いに来ました。面会の約束は総監としている」
　と来訪の意図を開陳(かいちん)した。
　やがてドアを開けて業務室庶務班長の沢本泰治三佐が、出てきた。
「総監より承っております。どうぞ」
　と五名を二階総監室に先導していく。階段前で沢本が、
「又ご立派なものをお持ちで」
　と関の孫六を指した。
「これは楯の会の指揮刀です」
　公威は掲げてみせた。沢本が凍った。
「がははは」
　公威は笑い飛ばし、階段を上りはじめたので、沢本三佐は慌てて階段を駆け上ったのである。

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表紙・目次

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