剣と日輪
公威は関の孫六を下げたままつかつかと吉松一佐に歩み寄り、四つ折にしたコピー用紙を壊れた窓枠に投げ入れた。
「この要求書を呑んでくれたなら、総監はお返しする」
吉松一佐が手に取ると、先刻必勝が渡した要求書と同じ内容だった。
「少し時間をくれ給え」
「時刻はもう十一時半だ。迅速に願いたい」
「分かった」
吉松一佐は原一佐、佐川一佐と共に、総監室向かい側の第三部作戦室に入った。三人の意見は、
「今となっては、総監を救うには、三島の言うとおりにするしかない。これ以上犠牲者を出すのは忍びないし、演説の間に捕縛方法を練ろう」
とまとまった。
吉松一佐は総監室正面ドア越しに、
「要求を呑もう。だからくれぐれも総監には狼藉を働くな」
と叫んだ。
「貴官にそのような権限があるのか?」
公威の質問に吉松一佐は、
「自分は幕僚副長で、この現場の責任者だ」
と応じた。
(やっと要求が通った!)
必勝と公威は顔を見合わせて、安和した。
「よし。では十二時までに自衛官を前庭に集めろ。市ヶ谷会館にいる楯の会隊員もだ。一時半までは一切の攻撃をするな。すれば総監を直ちに殺し、自決するぞ」
「分かった。攻撃はしない」
「よし」
「この要求書を呑んでくれたなら、総監はお返しする」
吉松一佐が手に取ると、先刻必勝が渡した要求書と同じ内容だった。
「少し時間をくれ給え」
「時刻はもう十一時半だ。迅速に願いたい」
「分かった」
吉松一佐は原一佐、佐川一佐と共に、総監室向かい側の第三部作戦室に入った。三人の意見は、
「今となっては、総監を救うには、三島の言うとおりにするしかない。これ以上犠牲者を出すのは忍びないし、演説の間に捕縛方法を練ろう」
とまとまった。
吉松一佐は総監室正面ドア越しに、
「要求を呑もう。だからくれぐれも総監には狼藉を働くな」
と叫んだ。
「貴官にそのような権限があるのか?」
公威の質問に吉松一佐は、
「自分は幕僚副長で、この現場の責任者だ」
と応じた。
(やっと要求が通った!)
必勝と公威は顔を見合わせて、安和した。
「よし。では十二時までに自衛官を前庭に集めろ。市ヶ谷会館にいる楯の会隊員もだ。一時半までは一切の攻撃をするな。すれば総監を直ちに殺し、自決するぞ」
「分かった。攻撃はしない」
「よし」