AVENTURE -君の名前を教えて-
「はーい、そこまで！」

お兄さんが間に割って入る。

「事情はわかったけど、とりあえず、アヤはこっちで預かるわ。そう、おばあ様にも伝えてくれるかしら？」

にっこりと笑って言うと、チカは顔をしかめた。

「…まだそのような格好をされているのですか、トラン様」

「あら、そんなの私の勝手じゃない。ねぇ？」

そう言うと、トランは私の方をみた。

「私みたいなの、どう思う？」

聞かれて返事に困った。
チカの視線が驚くほどきつくて怖いからだ。

「いや、その…えっと。別にいいと思い、ます」

そう答えると、トランはうんうんと頷き、チカは今にも殴りかからんばかりの表情でこちらを睨みつけていた。

「とにかく！さぁ、二人とも？お引き取り願えるかしら」

にっこり笑ってトランは出入り口を指さした。

「もう夜も遅いの。ご近所さんに迷惑でしょう？」

そういうと、急にすっと真面目な表情になる。

「とっとと帰りな。俺が誰か、知らないわけじゃないだろう？」

その言葉に、チカは小さくため息をついて、そのままセバスチャンと一緒に部屋を出て行った。


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