AVENTURE -君の名前を教えて-
「…ありがとう、兄さん」

「え!?」

アヤの言葉に、思わず大きな声で叫んでしまった。
部屋の壁をどんどん!と叩かれて、思わずごめんなさい、と謝った。

「とりあえず、座りなさいな」

にっこり笑うトランに、私は小さく頷くと、アヤと並んで、ベッドに腰掛けた。

「まぁそもそも。私が原因なんだもの。ごめんなさいね」

苦笑いを浮かべながら、トランが言う。

「本当はね、シエラは私の婚約者だったのよ」

「え…?」

驚く私に、トランはうん、と小さく頷いた。

「だけど私ってほら、こんなんじゃない?で、しかもおばあ様はとっても頭の固い人だから。お前に王位は継がせない!なんてことになっちゃって」

小さく方をすくめるトラン。

「で、そのままスライドして、弟のアヤが今度は的になったの」

「ふえぇ…」


現実に、そんなことってあるんだ。


驚いて何も言葉が出なかった。




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