AVENTURE -君の名前を教えて-
カトレアの表情は、まるで苦虫を噛んだかのようだった。

「いい機会だから、この場をかりて真実を伝えるよ、シエラ」

そう言うと、トランは少し、悲しげな表情を浮かべながら、シエラに微笑んだ。

「俺が周りと少し違うと気づいたのは15歳のときだった」

深呼吸をひとつして、話始めた。

「最初はひどく動揺したよ。10歳のときから婚約者として付き合っていたシエラのことが、俺は好きなんだと思っていたからね。でも違った。俺は、君の事は確かに好きだったが、それは恋愛じゃなかった。俺の、男性に対する感情と、シエラへの感情は、明らかに違っていたから」

トランは続けた。

「俺は困惑し、パニックになった。正直、その意味がまったく、俺にはわからなかったから」

当時のことを思い出しているのだろう。
トランはゆっくりと、言葉に詰まりながらも話し続ける。

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