AVENTURE -君の名前を教えて-
ホテルを後にし、一緒に空港へと向かった。
朝早めの時間に動き出したからか、街にも人の姿はまばらで、少なかった。

荷物を預けて、搭乗手続きを済ませると、私はアヤと一緒に朝ごはんを食べた。
幸い、黒髪のカツラを今日もつけていたので、アヤのことに気づく人は誰もいなかった。

「まだ時間、少しあるだろ?」

アヤに言われて、私は頷いた。

「ちょっと、屋上に出ようぜ」

そう言うと、私の手を引いて、アヤは歩き出した。


…この手のぬくもりも、あとちょっと、か。


思わず泣きそうになるのをぐっとこらえる。


今日は泣かないって決めたんだから。


アヤに気づかれないよう、深呼吸をひとつする。

「どうかしたか?」

アヤにいわれて私は笑って答えた。

「ううん、なんでもないよ」

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