AVENTURE -君の名前を教えて-
「これって…」

いかにも指輪の入っていそうなケースに、まさか、とアヤの顔をみた。

「あけて」

そういって渡された私は、ゆっくりとケースを開けてみた。

「ピア…ス?」

可愛い星と月の形をしたピアスが、そこにはちょこんと収められていた。

「最初、指輪にしようかと思ってたんだがな。お前、それ。ほしかったんだろ?」

言われてはっとする。

「なん…どうして?」

そこにあったピアスは、昨日一緒にショッピングモールに行ったときに入ったお店で、可愛いな、と思ったデザインのものだった。

「いつ?え…どうやって??」

だが、お土産を買っている最中だったし、自分に買うには少し高くて、買うのはあきらめた。が、アヤに、それが可愛いとは、一言も言っていない。
第一、あの日は一緒にずっと回っていて、アヤが買い物をしたところはまったく見ていない。

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