AVENTURE -君の名前を教えて-
「うそでしょう!?あれだけ嫌味を言ったのに、わかっていなかったの!?」

シエラの言葉に、私は苦笑いした。

「いや、なんていうか…もう、それどころじゃなくなってたし。そんなに気にしてないですから」

言うと、シエラは信じられない、という顔で首をふった。

「あなた…すごいわ」

シエラに言われて、私は首を傾げた。

「でもいいわ。本当に、あの時はごめんなさい。あなたを傷つけるようなことを言ったのは事実ですもの」

そう言って、シエラは頭を下げた。

「いいんですって、いや、ほんと、気にしないでください!」

すると、今度はトランが口を開いた。

「それにしても、私たちに別れの挨拶もなしで帰ろうだなんて、ちょっと薄情じゃない」

言われて私は苦笑いした。

「ま、アヤと一緒にすごせる時間を、昨日、邪魔しちゃったからね」

「まぁ、トランってばずるいわ!なぜ私も呼んでくださらなかったの!?」

「あはは、ごめんごめん」

トランとシエラのやり取りを見て、私は少し、心があったかくなるのを感じた。

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