AVENTURE -君の名前を教えて-
「それじゃ、行くね」

笑って手を振ったときだった。

「あ…アヤ?」

腕を引っ張られたかと思うと、アヤが突然ぎゅっと抱きしめてきた。

「アヤ…もう行かないと」

「必ず、すぐに迎えにいくからな」

その言葉に、私は微笑んだ。

「待ってる」

すると、アヤはみんなの前だというのに、突然キスをしてきた。
思わず目が点になる。

セキュリティチェックで待っていた、全く見ず知らずの人たちでさえ、こっちを見ていた。

「ちょ…アヤ!?」

体をよじって顔を離すと、アヤはニッと笑った。

「お前はもう、俺から逃げられないからな」

「馬鹿!」

私はそのまま、セキュリティチェックを通り、出国審査も終え、ゲートへと向かった。

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