AVENTURE -君の名前を教えて-
ホテルに戻り、大きなジャグジーにお湯を張りながら、私はシャワーを浴びる。


酔っぱらってるわ、私。


さっき自分で答えた言葉を思い出すと、恥ずかしさでまた顔が赤くなっていく。
頭から熱いお湯をかぶり、私は少しだけ荒くなる息を整えた。


旅先での出会い。
ひと夏の思い出。
アバンチュール。


失恋の痛手から逃避できるなら。
それも悪くはないかも知れない。

濡れた髪をぎゅっと絞り、タオルで巻き上げる。
ジャグジーに流し込んでいたお湯を止め、私はそのままちゃぽんと浸かった。

「うー!気もちいぃ!」

はぅ、と思わず至福の声が漏れる。


ま、また会えるかどうかもわかんないんだし。


そう思って、私は考える事をやめ、のんびりと浴槽に浸かった。
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