AVENTURE -君の名前を教えて-
用意されていた着替えは、有名ブランド「ファントム」のワンピースだった。

「うそ…マジで?」

カジュアルなものからフォーマルなものまで。ファントムが用意しているものはたくさんあって、それこそ値段はお求め安いものから値の張るものまで値段も種類も幅広い。
用意してくれていたワンピースは、ファントムがこの夏に発表されたばかりの新作。だが、まだ店頭には出回っていないはずだった。

恐る恐るワンピースを着てみる。

「わぁ…!」

トップ部分が翡翠色。そこからスカートのブラウンへのグラデーションがとても綺麗なノースリーブミニスカートワンピで、アンダーバストにあしらわれたビーズトリムがボディラインを美しくサポートしてくれる。

女の子なら誰もがあこがれるファントムの洋服。


…そういえば、アイツとの初めてのデートのとき、気合を入れてファントムの服着ていったなぁ。


そしてげんなりする。


アイツにその時の服にアイス落とされて、喧嘩したんだっけ。


結局すぐに仲直りしたけど、それ以来、デートのときにはあんまりおしゃれをしなくなった。汚れても気にならない、動きやすくてすぐに洗える洋服を、無意識のうちに選ぶようになっていた。

「この服、高そうだよねぇ…」

思わず肩に力が入ってしまった。


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