QUARTET
プロローグ
玄関に座ってローファーに足を入れる。
外では穏やかな風が
桜の花びらをひらひらともてあそんでいる。
麗らかで、暖かで、始まりの日には申し分のない天気。
「あんたねぇ、ローファーなんてさっとはけるでしょ?置いてくよー?」
3つ上の姉は、真新しいスーツに身を包んで、扉を開けたまま私を見下ろしている。
ぐずぐずしている私に完全に呆れた顔をしてるけど、それでも口元の笑みが隠しきれていない。
姉のまどかは新社会人。
この就職難の時代に、見事第1志望の、大手有名企業に就職を決めた。
しかも、高校時代からの彼氏と揃って同じ会社に。
だからなのか、新しいスーツが結構な値段のものだからなのか、今日の姉はしゃきっとしている上に輝いて見える。
…それに比べて私といったら。
ローファーひとつ履くのも億劫で、こんな麗らかな天気でさえも恨めしい。
「今履いたから待ってよぉ。」
ようやく決心して重い腰をあげ、姉と肩を並べた。
「「いってきまーす。」」
外では穏やかな風が
桜の花びらをひらひらともてあそんでいる。
麗らかで、暖かで、始まりの日には申し分のない天気。
「あんたねぇ、ローファーなんてさっとはけるでしょ?置いてくよー?」
3つ上の姉は、真新しいスーツに身を包んで、扉を開けたまま私を見下ろしている。
ぐずぐずしている私に完全に呆れた顔をしてるけど、それでも口元の笑みが隠しきれていない。
姉のまどかは新社会人。
この就職難の時代に、見事第1志望の、大手有名企業に就職を決めた。
しかも、高校時代からの彼氏と揃って同じ会社に。
だからなのか、新しいスーツが結構な値段のものだからなのか、今日の姉はしゃきっとしている上に輝いて見える。
…それに比べて私といったら。
ローファーひとつ履くのも億劫で、こんな麗らかな天気でさえも恨めしい。
「今履いたから待ってよぉ。」
ようやく決心して重い腰をあげ、姉と肩を並べた。
「「いってきまーす。」」