QUARTET
「ちょっ、ともきち!失礼じゃん!」
彼女さんがバシンと肩を叩いた。
「ごめんね小野町さん。」
本当に申し訳なさそうに頭を下げる彼女さんに、大丈夫だよ、と手を振ったその頃には、もう教室の雰囲気は元に戻っていた。
「ともきちあんたも謝りなよー。」
「ごめんね。」
島流しに関しては、全然気にするところじゃなかった。
それよりも、この2人が想像よりも素直そうなことに驚いてしまった。
「あたし帯谷凜子だよー。よろしくね。」
「小野町たまきです。よろしくねー。」
「俺は楠瀬トモキ。」
「…ともきちじゃなくて??」
確かさっき、凜子ちゃんがそう呼んでたような…。
「あははははは!」
凜子ちゃんが豪快に笑う。
「そう呼ぶのは凜子だけ。
俺が犬みたいだから、“とも吉”なんだとさー。
これ結構ひどくね?」
「えー何でー?可愛いじゃん!
ともきちお手!」
「…わんっ!」
凜子ちゃんの手にさっと手を乗せるトモキくん。
それが本当に従順な犬みたいで、思わず大爆笑の私。
こうして、私は凜子とトモキに出会った。
私の人生が、ゆるゆると動いていく瞬間だった。