ミルクの王子様
「牛乳...じゃない...」
がっくりと肩を落とす弟。
無理もないか、
「でも一応ミルクだよ?飲んで?」
ミルクを手に持たせようとすると、手を隠された。
「俺は、ミルクじゃなくて牛乳じゃないと無理。牛乳じゃないと元気になれん」
「家に牛乳が無いの。あんたが飲みすぎて。
今から買いに行こうにも、スーパーが開いてない。分かる?
今この家に、あんたが大好きな乳製品は"ミルク"しかないの。
それでも飲まないならいいよ。私が飲むから」
それだけ言って、弟のために作ったミルクに口をつけようとすると、
「だめ!」と、弟が止めた。