君は天使-短編集-
僕は今、檻の中。
檻の外は駐車場になっていて、車が何台かとまっている。
檻にはスペシャルプライスと書かれた貼紙。
値段は35000円。
僕は、少し前まで建物の中にいた。
ガラスの箱の中。
貼紙には160000の文字。
でも、ガラスの中の生活は苦しかった。
ガラスの中にいたのは僕だけじゃない。
他にもたくさんいた。
みんな必死。
ガラスの前に、誰かが来たら祈る。
買ってください。
家族というものをください。
愛をください。
もし、誰も受け入れてくれなかったら?
みんなそんな不安と戦ってた。
もちろん僕も。
でも、もう疲れた。
気付いたら外の檻に移されてた。
きっと僕をもらってくれる人なんていない。