君は天使-短編集-
降り続く雪の中
君は一人座っていた
君と目があった
君は微笑んだ
僕も微笑んだ
それから
目の前に降りていく雪を見ながら
僕は初めて君に声をかける
「風邪引くよ。」
君は小さく頷いて
困ったような顔をして
「でもね、タイヤに雪がついて、私ここから動けないの。」
だから僕は
君の後ろに回り
青い取っ手を握って
ゆっくり押した
タイヤが回る
雪に跡をつける
二本の線と僕の足跡
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