君は天使-短編集-
俺は殴られる度にそう思った。
そして、ある日転機が訪れる。
いつものように殴られていた俺は、いつものように願った。
母さんを助けたい。
すると、母親の手は止まった。
俺は母親の顔を見上げた。
母さんは泣いてなかった。
それどころか、まばたき一つしなかった。
母さん?と呼び掛けてみても返事はない。
そこで気がついた。
母さんは固まってしまったのだ。
母さんの肩を揺すってみたが動かない。
幼い俺は絶望した。
俺があんなことを願ったせいで、母さんは固まってしまった。
その時俺は何を思ったか、ドライヤーを探しに行った。
母親の体にドライヤーの熱をかければ動く気がしたからだ。
洗面所に行き、ドライヤーを探す。