君は天使-短編集-




俺は殴られる度にそう思った。





そして、ある日転機が訪れる。





いつものように殴られていた俺は、いつものように願った。





母さんを助けたい。





すると、母親の手は止まった。


俺は母親の顔を見上げた。


母さんは泣いてなかった。

それどころか、まばたき一つしなかった。


母さん?と呼び掛けてみても返事はない。


そこで気がついた。




母さんは固まってしまったのだ。




母さんの肩を揺すってみたが動かない。


幼い俺は絶望した。


俺があんなことを願ったせいで、母さんは固まってしまった。


その時俺は何を思ったか、ドライヤーを探しに行った。


母親の体にドライヤーの熱をかければ動く気がしたからだ。


洗面所に行き、ドライヤーを探す。




< 33 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop