君は天使-短編集-
しかし、幸せは長くは続かない。
俺が殴りかかる母親の手を避けるために力を使うたび、母親の目は怯えた目に変わっていった。
そして遂に、母親は何も言わず家を出ていった。
俺はその後、親戚の家に引き取られ今に至る。
力のことは何となく隠して生活するようになった。
だが、人間には防衛本能というものがある。
だからつい、危険を察知すると力を使ってしまう。
たとえば、目の前にボールがとんできたとかだ。